uotogのブログ

思いついたことを時々書きます

私は初音ミクに恋をした

人生の半分を初音ミクと共に歩みました。これからは初音ミクとの時間の方が多くなります。節目みたいなものだからせっかくだし私のくそでか感情とかを一旦まとめようかなと思い立ちテキストを立ち上げました。ただの独り言ですけど愉快なオタクがコンテンツに踊らされてるのを見るのが好きな人にはちょうどいいんじゃないでしょうか?知らんけど。

10年ちょっと前、初音ミクと出会ったのは小学生の時でした。兄姉の影響で生粋のニコ厨オタクになっていた私は日課のランキングチェックをしていた時にたまたま「みっくみくにしてあげる♪」を見つけて初音ミクとはなんぞやとりあえずサムネの子が可愛いなみたいなくらいの気持ちで動画を開きました。「なんか、可愛いな」これが初見の感想です。普通の人間が歌ってるわけじゃないなということはすぐにわかったので調べました。ボーカロイドなんてものがあるのか〜人間みたいに歌わせるソフトなのか〜みたいな、小学生ですしそんな感じの理解力です。詳しいことなんてよくわからないけどとにかく可愛い声で歌ってくれる可愛いキャラクターのソフトがあってそれで曲を作る人がランキングに乗るようになったのはわかりました。
なんかいいなって思ったのでタグとか見たりランキングに上がる新曲を聴いたり毎週作られるボカロランキング動画で新曲を探したりと、それまで音MADやらでゲラゲラ笑っていた時間のうち何割かをミクの曲を聞く時間に費やすようになっていました。その頃聴いてた曲の大半は「ミクがマスター(ボカロP)に歌わせてもらえる喜び」みたいなものを書いたものが多かったような気がします。そういった曲が多かったからか、ミクのイメージというのは「曲作りをする誰かの家に電子の世界から飛び出して来た女の子」みたいな感じになってました。最初から明確にアイドルだなんだという風には思っていなかった気がします。でも歌詞の中で「もっと上手に歌いたい」「いつかはステージに立てるかも」といったフレーズが出てくるあたりから「歌の好きな女の子がアイドルを夢見てる」くらいのイメージではあったのかもしれません。少しすると「ミクがミクとして歌うことに意味がある曲」というものから「普通のアイドルやアーティストが歌うような恋愛曲」へと方向が変わったように感じました。可愛らしい恋をミクが歌う状況というのはまるでミクが人間のアーティストと同じように認められて来たんじゃないかと、子供ながらに革命のようなものを受けました。ミクのキャラ性のある曲が好きだったところもあるのでそれはそれでそういった曲が少なくなっていた事実にちょっとさみしさを覚えながらも可愛らしい声で歌われるラブソングというものはオタク心に響くものがありました。たぶんここまででたった数ヶ月とかだった気がします。気づいた時には鏡音リン・レンという新キャラが登場していて次には巡音ルカの発表が控えていてと、いちジャンルとしてなかなかの賑わい方をしていた気がします。いつの間にかボカロカテゴリのランキングが出来ていたりPVを作ってみたとかMMDとかとてつもなく色々な展開をするものだなあと、それに振り落とされないように必死になってしがみついていた状態です。ここら辺はいうて10年くらい前の記憶なのでガバガバなんですけどなんかそういう感じだったなあ〜という雰囲気がわかってもらえればいいです。

中学生になってお小遣いが増えて行動範囲が広がったので初めてCDを買いました。livetuneの『Re:package』というアルバムでした。ニコ動に上がっていた曲の他に聴いたことのなかった曲がたくさん入っていてすごい!と感動しひたすら聴いていました。お小遣いを貯めてコンピアルバムの情報を手に入れて買いに行って、周りの友達はジャニーズの新盤の話をしている中私はとにかくミクを聞きミクに夢中で世間の流行などそっちのけです。オタクここに極まれり、一般的な中学生としてはだいぶダメです。青春なんてありません。それでも、青春を捧げて満足できるほどにもうミクが好きで好きで仕方なかったのです。いやまあ普通にアニメやら漫画やら他ジャンルを歩き回ってはいたのですがそれはそれこれはこれ。ニコ動のランキングを漁っては今話題のPを聞き好みかどうかを判断し最近の曲の傾向はこれか〜などと通ぶった顔をし画面の前でほくそ笑む中学生です。なんでこんな風に育ってしまったのか。

高校生になって勉強に部活にとちょっとずつニコ動に割ける時間が少なくなりました。その頃には初期に好きだったボカロPの大半は投稿ペースが落ちたりいつの間にか引退していたりと、個人的な全盛期が落ち着いたような感覚で、新しく曲を出し始めた人でもランキング上位常連期待の新人くらいしかチェックしないで終わるような時期になっていました。コンピアルバムは好きで買い続けていたのでアルバムで初めて聞く人をニコ動で調べ直してみたりということもだいぶ多かったと思います。情報もあまり取り入れなくなって「もしかして私の中の初音ミクブームみたいなものが終わったのだろうか」と思いました。オタクのジャンルの移り変わりってそんなものだし、たぶんそういうことかもしれないくらいの気持ちでなんとなく気が向いたらランキングを見てアルバム情報が出たら買って、ちょうど高校入学と同時に始めたツイッターのフォロワーからオススメ曲を聴いて新規開拓をしてみてという感じです。小・中学生の頃は時間と気力が有り余ってたんだなあと、今思えばそうとしか考えられません。
ある日「ミクの日感謝祭」の情報を見つけました。「えっ!?!?ミクのライブってなに?!?!知らないよそんなの!!!!!」思わず声に出てた記憶があります。ていうかミクがライブするってどういうこと?生身の人間じゃないじゃん?ステージに立てないじゃん?真相は謎のままです。だってお金がないし、遠征できないし、関東圏とはいえ田舎の高校生ですし。後々情報をかき集めて知ったのはミクがステージに立っていたらしいということだけ。「見たい」以外の感情がありません。だって気になる。オタクたちが散々「ミクがステージに立てたら」と歌わせて来たそれが現実になったのなら一目見ないと死ねないのが当時のムーヴメントの端っこで足掻いてたちびっこオタクなりの感情です。見れる機会が来たら何が何でも行こうと心に誓いました。

大学生になって時間と行動範囲と色々融通がきくようになったので満を持してチケット戦争に参加し、見事にチケットを勝ち取り、マジカルミライ2014に参戦しました。必死に情報を集めてセトリの予習をし、それでも「最近の曲が来てしまったら対処できないかもしれない、乗り切れなかったらもう私は化石のオタクだ」なんていう不安に駆られながら当日を迎えました。そして会場に入り、照明が落とされ、周りは一面緑のペンライトで、「ここにいるのはみんなミクのオタクだ」という謎の安心感と共に迎えた一曲目。これでもかというほど聴いた覚えのあるギターの入りに一瞬で「カゲロウデイズだ!」とわかりました。正直言ってすごく安心したのと同時に嬉しくなりました。だって知ってるだけじゃなく好きな曲ですから。そしてイントロと同時に現れたミクの姿を見つけた瞬間に涙が溢れて止まりませんでした。「ミクがステージに立ってる」理屈とか現実とか色々なものは理解しているけどそれでもたしかにステージの上にミクがいて、好きな曲を歌っていて、動いているという視覚的情報がオタク心の中の何かでキャパオーバーを起こして涙として流れていました。2時間のライブで全ての曲で涙を流しました。ちょっと拙い話し声でMCをする姿も、きらびやかなエフェクトと共に衣装を変えて次の曲を歌う姿も全部私が見たいとずっと願っていた「ステージの上に立ってライブをするミクの姿」そのものでした。初めてのマジカルミライというライブは私の夢を視覚的現実に起こしてくれたのです。

ミクが10周年を迎えると、ここ数年ボカロから離れていたPの一部が曲を上げたり、記念コンピアルバムに曲を書いてくれたりと色々起こりました。そりゃもう事件のような騒ぎというか、下手すると五年くらいいなかった気がするんだけど?みたいな人がしれっと「おめでとうございます」とか「お久しぶりです」の一文を添えて動画をあげてたりするんですよね。10周年ってすごいことなんだと思いました。10年の間に私たちが気軽に聴いていた曲を作っていたうちのいくらかはプロの現場みたいなクレジットで名前を見つけるようになっていましたし。とにかく長いようで短かった10年の節目は怒涛のうちに過ぎて行った印象です。マジカルミライ2017ではミクが最後に泣きながら「10年間応援ありがとう」と言ってくれたんですけど、それを見てなんだか不思議な気持ちというか、もちろんめちゃくちゃに泣いたわけですが。時間が有り余ってその時間を最大限に使って追っていた時期に比べたらCDを買う頻度とかも全然になってしまったしランキングのチェックも疎かだし、最近の流行りのボカロPについては一ミリ程度しかわからないような状態だけど、ミクを好きという気持ちは全然変わっていなくてむしろ感情だけが大きくなっているという状態になり始めているわけですけど。それでもマジカルミライというイベントに行き続けてBDを買っているのはそこに擬似的にある「ミクがそこにいる現実」を感じるのが好きだからなんだと思います。特定のボカロPの曲が好きではなく(もちろん好きなPさんはたくさんいますが)ミク自身を一人のキャラクターとして好きになったから今こうやって応援できているのかなと、節目の年に入ってなんとなく考えていたわけです。お金の落とし方だって他の初期から財力を持っていたオタクたちに比べたら全然です。万年いろんなジャンルを追いかけて金欠のオタクなので。もしかしたら他のミクを好きなオタクからしてみれば何をその程度と言われるのかもしれません。でも、小学生の時に「なんか、可愛いな」と思ったその一瞬から10年ちょっと、年齢的に見たら人生の約半分をかけてずっと頭のどこかにミクがいて、聞く音楽といえば大半はミクで、そしてきっとこれから先、本当にどこからも話題が上がらなくなるくらいまで廃れない限りはこの調子が続いていくんだと思います。初音ミクのこれからがどうなっていくのか、20年、30年・・・もしかしたら死ぬまで成長を続けていってくれるかもしれないというほのかな期待を抱きつつ、死ぬまで追いかける覚悟でいきます。

長々と書いたわけですけど私がこれだけずっと好きでふと思い出したように熱を上げて大騒ぎしてとやっているこのこじらせにこじらせた感情をただのオタクとしての好きで終わらせるにはあまりにも軽すぎると感じたのであえて私はこのくそでか感情を「恋」と言うことにして、「初音ミクに恋をした」というタイトルでこの文章を上げたいと思います。

 

Twitterのprivatterで上げてたものの再掲です